【TM様邸/外壁屋根塗装工事】03 コーキング/シーリング打ち替え(目地)
TM様の外壁は窯業系サイディングボードで厚さは12㎜。
目地や窓廻りにはコーキング/シーリングが充填してあります。
目地はところどころ裂けている部分があり、
前回の工事は打ち替えではなく「増し打ち」だったようです。
ただ増し打ちでも裂けていない部分もあったので、
サイディングボードの伸縮が少なく
既存のコーキングに弾力性あり、裂けていなければ
増し打ちでもOKなのかもしれませんが、
当店では「打ち替え」でお見積りさせて頂いてます。
今回、目地は打ち替え。窓廻りは増し打ちの予定ですが、
裂けている部分や怪しい部分は打ち替えとなります。
コーナーの目地を撤去してみると、
ハットジョイナーではなく
サネが目地底になっているタイプで
ボンドブレーカーなどが貼られていないため、
目地底にもコーキングが付着している「3面接着」でした。
3面接着になっていると、コーキングを除去しにくいため
コーキング取り(黒い工具)などを使い除去するんですが、
これがまた手間がかかるんですよ~。
なので
3面接着とわかった時はもう
マジすか! うそっしょ! もしかして全部!?って
心の中で、めちゃくちゃ焦ります。(^_^;)
今回はコーナー部分のサネだけが3面接着でした。
と言ってもコーナー部分が多い…..(笑)
ハットジョイナーが設置されている部分は
ボンドブレーカー(茶色/クラフトテープ)が
貼られているので、2面接着でした。
コーキングはカッターで切り込み撤去していきます。
3面接着の部分はコーキング取りでガリガリ引っ掻き撤去します。
外壁の断面にはコーキングの薄皮が残存するため、
超硬刃スクレーパーとカッターで削り極力撤去します。
極力撤去する理由は3つ。
①コーキングとコーキングの相性(付着)。
相性の良し悪しは充填後すぐわかりません。
(厳密にいえばコーキングとコーキングではなく
コーキングとプライマーですね)
②残存しているコーキングから裂けてしまうと
今回充填させたコーキングも裂けてしまう可能性がある。
③既存のコーキングが
ブリードタイプの場合、可塑剤の移行で
コーキングに汚れが付きやすくなる。
これらのことを考慮すると
極力撤去が理想かなと思います。
ただカッターでざっくり撤去の場合と比較すると
手間がかかる極力撤去の方が単価は上がってしまいます。
外壁塗装や屋根塗装は一般に方にはわかりづらい・
比較しにくい部分なので、悩まれますよね。
もし外壁や屋根の塗装をお考えの方がいらっしゃいましたら
お気軽にお問合せくださいね。
間違ってもしつこい営業はしませんので~(^^)
既存のコーキングを撤去していると
ムニュと弾力の無い気持ち悪い感触があり、
撤去してみると硬化不良していました。
この硬化不良の撤去がまた厄介もので
手やペンチにベタベタと付着し
3面接着の撤去より手間がかかりました。(^_^;)
にしても
なんで硬化不良になったんだろう。不思議です。
コーナーの目地(サネ部分)の幅が
4~6㎜とかなり狭く
目地の深さは3~4㎜前後しかありませんでした。
ハットジョイナーの部分は普通に8~10㎜あり、
目地の深さは4~7㎜前後。
そういえば、
サンルームと外壁の間は狭くお見積り提出の時、
サンルーム周辺は塗装・コーキング工事できないかもしれません。と
お伝えしましたが、なんとか体は入りました。
狭い部分の目地を確認すると、
塗料がのらないシリコーンシーラントが
充填されてました。(T_T)
なぜこんなところに限ってシリコーンシーラントなんだろう。
紫外線劣化はかなりしにくい部分で伸縮も小さく
現状裂けてもないので、
この状態でも良さそうな感じもしますが、
数年で裂けたら申し訳ないので、極力撤去しました。(^^)
コーキング撤去後、
目地の両脇にマスキングテープを貼り養生。
使用したマスキングテープはカモイの246Sです。
翌日、弱い雨が降る予報のため、
目地底に雨水が侵入しないよう目地も養生。
プライマーはシャープ化学工業のP-50。
無黄変タイプ・高粘度タイプで、
乾燥時間は23℃で約30分。
P-32というプライマーもあるんですが、
こちらはP-50と比較すると低粘度です。
個人的にはP-50の方が塗りやすいですかね。
目地を清掃後、外壁の断面にプライマーを塗布。
プライマーは素地(サイディングボード)を固め
コーキングの付着を向上させるために塗布します。
プライマー乾燥後、
2面接着にするために目地底にボンドブレーカー(絶縁テープ)を貼ります。
ハットジョイナーが設置されている部分は8~10㎜を使用。
コーナーの部分(サネ)の部分は
6㎜幅のボンドブレーカーを使用しましたが、
4㎜の目地幅もあるため、
6~8㎜のボンドブレーカーを
半分に切り貼っていきました。
いままで6㎜幅のボンドブレーカーが
最小だとおもっていたんですが、
5㎜のボンドブレーカーもあるようなので、
最後の方は5㎜幅のボンドブレーカーを使用しました。
コーキングを充填します。
使用したコーキングは種類(グレード)は変成シリコンで、
商品名はヘンセイシリコーンNB-LMで色はライトグレー。
(シャープ化学工業)
NBはノンブリードの略で汚れにくいコーキング。
LMは低モジュラスタイプの略で柔らかいコーキングになります。
窯業系サイディングボードの場合はLMかMを使用します。
戸建ての塗り替えで使われているコーキングは
ざっくりですが、変成シリコンかオートンのウレタンが多いですかね。
ちょっと話はそれますが、
塗料と同じでコーキング/シーリングも
同じグレードでも耐候性やブリード(NBタイプ)に差があるんじゃないか?と思い
2017年10月にコーキング/シーリング14種類を充填し屋外暴露試験開始。
2020年9月まで暴露していたので、約3年経過しました。
この8~9㎜Ver.には、ノンブリード性能を確認するために
弱溶剤1液形アクリルシリコンを塗装してます。
屋外暴露試験は南面45℃に傾けているため、
90℃の外壁面と比較すると
ざっくり2倍前後、劣化は促進されているはずです。
なので、約6年相当の劣化だと思います。
半年ペースで試験体を確認していますが、
2年前後で差が現れてきました。
↓ウレタン1種類・変成シリコン2種類を比較↓
【変成シリコンNB】
耐候性・ノンブリード性能ワースト1位
耐候性の悪いヘンセイシリコンNBは
露出部分にひび割れが発生。
おまけにブリード(汚れ)してます。(^_^;)
(クリックすると拡大画像をご覧いただけます→拡大画像)
コーキング/シーリングは痩せ。
どのコーキングも充填後 痩せます。
ガッツリ痩せるコーキングもありますが、
このコーキングは普通だと思います。
【ウレタンNB】
14種類の中でノンブリード性能NO1
こちらはウレタンで若干ひび割れが発生。
上の画像と塗膜(ピンク)のところ見て頂くとわかりますが、
こちらの塗膜面はとても綺麗です。
コーキングと塗料の相性もあると思いますが、
ノンブリード性能に優れたコーキング/シーリング材だと思います。
拡大画像
コーキングの痩せ。
これも普通だと思います。
【変成シリコンNB】
今回使用させて頂いたヘンセイシリコーンNBLMです。
色が違うため、わかりづらいですが、
ひび割れの発生は確認できませんでした。
ただ凹凸が出てきたので、
あと1~2年でひび割れは発生してくるのかなと予測しています。
ノンブリード性能は14種類中3~4位。
拡大画像
コーキングの痩せは普通だと思います。
屋外暴露試験約3年間の結果、間違いなく言えることは
コーキングの上に塗膜が付くとコーキングの劣化は遅くなる。
ただサイディングボードの伸縮で塗膜が裂けたり
塗膜が剥がれた場合はコーキングが露出してしまうため、
変成シリコンでも耐候性に優れているコーキング材を
使用した方が良いっすね。
まだ屋外暴露試験は続きますが、
経過を確認すると
どのコーキング/シーリングにも
一長一短ありますね。
(物すべてに言えることなんでしょうけど)
で、話は戻り、
コーキング充填後、ヘラでならして
マスキングテープを撤去し完了。
コーキングの上にも塗膜が付くので、
コーキングの寿命はUpします。
目地の打ち替えは約7日間かかりました。
3面接着・硬化不良・シリコーンシーラントと
色々イレギュラーなことがありましたが、
楽しませて頂きました。(^^)
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