お見積り/現場調査に伺うと「塗料って色々種類あるんでしょ?」
「何年ぐらいもつの?」と塗料に関してのご質問を多く頂きます。
お客様によっては塗料や塗装のことを熱心に勉強されている方もおり
「フッ素樹脂塗料や無機塗料・ラジカル制御ってどうなの?」とご質問を頂くと、
塗料/塗装談義好きな私としては、おぉーー!塗料について、
かなり勉強している方だ!と、テンションが上がり楽しくなります。(^^)
ただ、塗料/塗装に携わらない方が、カタログやインターネットなどで
何時間・何十時間も勉強されても、職人や塗料販売店にしか分からない
「現場の声」(隠ぺい性や仕上がり具合・塗装後のメリット/デメリット等)までは、
調べきれない部分なので、この辺難しいところだと思います。
とはいえ、まったく塗料や塗装について調べないと、
悪徳業者に騙されてしまう場合もありますので、
ある程度、塗料や塗装の知識を身につけておけば
こういった被害を未然に防ぐこともできます。
(実際、宮城県石巻市・東松島市周辺でも外壁塗装や屋根塗装で後悔している方もいます)
インターネットの情報だけが「答え=正解」ではない
このページを見られている方は、
おそらく外壁塗装や屋根塗装について調べている最中かと思います。
(無数にあるペンキ屋のHPの中、当店のHPを見て頂きありがとうございます)
いまはパソコンやスマホなどで、調べたいことを簡単に検索できるので、凄い時代になりましたね。
私も分からないことや気になることがあるとインターネットで調べ
解決する場合もあるのですが、必ずしもインターネット・カタログの情報が
「答え=正解」ではないので「これ以上考えても分からない!」と感じた時は、
塗料販売店や塗料メーカー・建材メーカーなどに電話やメールで相談しています。
そうすると、「現場の声」や「技術者の声」というのを教えて頂くことがあり
最初から相談すればよかったと思うことが多々ありますので、
「外壁/屋根塗装で、どの話を信じていいのか分からない」と感じた時は、
信用できそうな施工業者にご相談された方が早期解決する場合もあると思います。
注)電話・メールで相談すると、あとからしつこい営業・強引な営業を
される場合もありますので、施工業者は慎重にお選び下さい。
ここからは、少しややこし塗料の種類/グレードや期待耐候年数(次回の塗り替え時期)などを
現場で塗装している職人の経験や知識を生かし簡単にですが、説明しています。
外壁塗装や屋根塗装の塗料の種類/グレード
外壁や屋根に塗装する塗料の種類は、アクリル樹脂塗料・ポリウレタン樹脂塗料・
アクリルシリコン樹脂塗料・フッ素樹脂塗料・無機塗料の7種類程度あり、
右の順に耐候性に優れていると言われています。
近年、アクリルシリコン樹脂塗料より耐候性に優れていると言われている
ラジカル制御型のアクリルシリコン樹脂塗料が販売されました。
耐候性(期待耐候年数/平均的塗替周期)はアクリルシリコン樹脂塗料と
フッ素樹脂塗料の間に位置付けられています。
(ラジカル制御型アクリルシリコン樹脂塗料と同じ位置づけのハルス樹脂塗料もあります)
またフッ素樹脂塗料でもラジカル制御型もあり、構造が3Fから4Fへ進化している塗料もあります。
ほかにも光触媒塗料(安価品と高価品があり、汚れにくい塗料)やガイナ(断熱/遮熱塗料)
アドグリーンコート(高日射反射率塗料/遮熱塗料)・
オーストラリアで誕生したピュアアクリル塗料なども発売されています。
どの塗料も同じですが、耐候性/耐久性は屋外暴露(現場塗装)されてみないと
本当に何年持つかは製造している塗料メーカーでさえ分かりません。
そのため、塗料メーカーは屋外の環境に似たシュミレーションを行い
何年程度持つのか光沢保持率を調べカタログに掲載しています。
これを促進耐候性試験と言います。
カタログの促進耐候性試験は根拠/証拠ではなく、あくまでも期待値/目安です。
上塗り塗料のカタログにはキセノンランプ試験や
メタルハライドランプ試験などの促進耐候性試験が掲載されています。
これはあくまでも塗膜の擬似試験のため「屋外暴露」とは異なり
促進耐候性試験の結果が根拠/証拠ではなく、期待値/目安となります。
数年前までは促進耐候性試験(サンシャインウェザーメーター/SWOM)で
250時間前後の照射時間で屋外暴露一年分相当と言われていましたが、
現在は500時間前後で屋外暴露一年分という塗料メーカーもあり、
当店でも500~700時間前後で屋外暴露一年分と予測しています。
屋根の場合は外壁より過酷な環境のため、
2倍程度の1000時間前後で屋外暴露一年分相当と考えています。
促進耐候性試験
太陽光・温度・湿度・降雨などの屋内外の条件を人工的に再現し、劣化を促進させ、
いち早く製品・材料の寿命を予測することを目的としています。
スガ試験機株式会社のHPから引用
水性/弱溶剤塗料のグレードと期待耐候年数(次回の塗り替え時期)
下記の表は現場で塗装している同業者や当店の経験や実績などを考慮した
期待耐候年数(次回の塗り替え時期)です。
あくまでも目安ですので、環境や立地条件などによって年数は変動します。
これから主流となりそうなラジカル制御型のアクリルシリコン樹脂塗料やフッ素樹脂塗料・無機塗料は
実績が少ないため、宮古島の屋外実暴露の結果や促進耐候性試験結果を独自で予測した年数です。
樹脂の系統 | 外壁 期待耐候年数 (次回の塗り替え時期) |
屋根 期待耐候年数 (次回の塗り替え時期) |
アクリル樹脂塗料 | 水性 3~5年前後 |
弱溶剤 2~3年前後 |
ポリウレタン樹脂塗料 | 水性/弱溶剤 4~7年前後 |
弱溶剤1液形/弱溶剤2液形 3~6年前後 |
アクリルシリコン樹脂塗料 | 水性/弱溶剤 6~10年前後 |
弱溶剤1液形/弱溶剤2液形 5~8年前後 |
ラジカル制御型の アクリルシリコン樹脂塗料 |
水性 7~12年前後 |
弱溶剤 6~9年前後 |
フッ素樹脂塗料 | 水性弱溶剤 8~15年前後 |
弱溶剤1液形/弱溶剤2液形 7~12年前後 |
無機塗料 | 水性/弱溶剤 10~16年前後 |
弱溶剤2液形 8~13年前後 |
表には、簡単に水性/弱溶剤と分類していますが、水性も弱溶剤(油性)も1液形/2液形とあり
価格も違えば耐候性や低汚染性(汚れにくさ)なども違います。
現在、主流で使用されている外壁用のアクリルシリコン樹脂塗料は豊富にラインナップされていて
水性1液形(高価品と廉価品)・水性1液形(艶消し)・水性2液形・弱溶剤1液形・
弱溶剤2液形(高価品と廉価品)・単層弾性の合計8種類のアクリルシリコン樹脂塗料があります。
価格も安価なアクリルシリコン樹脂塗料ですと、一斗缶6,000円の塗料もあり
高価なアクリルシリコン樹脂塗料だと30,000円前後と、かなり開きがあるため、
一概にアクリルシリコン=期待耐候年数(次回塗り替え時期)10年前後という判断はできません。
それと上塗り塗料だけではなく、塗装する人でも耐候性が変わることもあります。
その理由は「塗料を過剰に薄めたり薄く塗装すると、耐候性が変わるため、
職人次第で耐候性を変えられる」と言うことになります。
どの上塗り塗料を使用するかも大切ですが、
それ以上にどのように考え現場で塗装するかの方が重要です。
1液形塗料と2液形塗料の違い
水性/弱溶剤 | 1液形塗料 | 2液形塗料 |
混合 | 塗料とシンナー(水性の場合は水) | 主剤・硬化剤・シンナー(水性の場合は水) |
作業性 | 2液形より優れている | ※1液形より劣る |
※可使時間 | 制限無し | 制限有り |
塗料の価格 | 2液形より安価の傾向 | 1液形より高価な傾向 |
耐候性 | 2液形より劣る | 1液形より優れている |
汚染性 | 2液形より劣る(低汚染性) | 1液形より優れている(超低汚染性) |
上塗りに弱溶剤アクリルシリコン樹脂塗料・フッ素樹脂塗料を使用する場合は、
1液形ではなく2液形をお勧めしております。
塗料・塗装に携わらない方からすると、1液形も2液形も同じペンキでしょ?と思われますが、
塗膜性能は1液形より2液形の方が優れていると言われております。(例外もあります)
※可使時間
主剤と硬化剤を調合後「何時間以内に使用してください」という制限があり、
可使時間を過ぎた塗料は使用できなくなります。塗料や気温によって異なりますが、
翌日には上の画像のように固まってしまいます。稀にですが、混合後、すぐ雨に降られ
1滴も使用せず廃棄という可哀そうな塗料もあります。(^_^;)
可使時間が過ぎてしまった塗料(余った塗料)は、廃棄するしかないため、
塗料が無駄になってしまい、作業後は刷毛やローラーをしっかり洗わないと
固まりやすくなってしまうため、
2液形は「洗浄に使用するシンナー」「洗浄に使用したシンナーの廃棄」
「余った塗料の廃棄」「指定の比率で調合しなかった場合の硬化不良」などデメリットが多いです。
ただし、塗膜性能を考えると1液形より2液形が優れているため、
当店では、少しでも長く持たせたいため、
外壁・屋根等に使用する弱溶剤の塗料の場合は、2液形の塗料をお勧めしております。
※2液形塗料 混合比率の大切さ
2液形には指定の比率があり、例えば「7対1 」「10対1」「14対1」など、
塗料により異なり秤で計量し混合します。混合後は、可使時間を過ぎると
使用できなくなるため、「必要な量を作り、無くなり次第、 また必要な量を作る」を
繰り返すため、1液形と比較すると作業性が劣ります。(1液形も秤で計量し指定の比率で希釈します)
比率を守らず混合しても、塗料は塗膜へと変わり
見た目では「秤で混合した塗膜」と「感で混合した塗膜」の差は分かりませんが
塗膜の中身(塗膜性能)は違います。
あくまでも、イメージですが、主剤と硬化剤に手が100本づつあり
その手が100対100でしっかり繋ぎ塗膜が完成します。
これを感で混合し硬化剤の手が30本足りなければ、塗膜は未完成のまま硬化し
塗膜の価値が落ちてしまうため、毎回、秤で計量し混合しています。
当店は塗料性能をしっかり発揮させるために、
希釈・2液形の主剤/硬化剤の混合は、指定の比率で計量し可使時間内に使用しています。