現場調査後の診断結果
I様邸のトタン屋根を調査した際、一番気になったのが、既存の塗膜の剥がれでした。
施主様にお話を伺うと数年前 DIYで塗装されたそうです。
当店の理想としては、付着性の悪い塗膜を完全に除去してからの塗装ですが、
現実的に難しく付着性の悪い塗膜をすべて剥がすのであれば、
葺き替えされた方が 良い場合もあります。
付着性の悪い塗膜を高圧洗浄である程度 除去する方法もありますが、
今回は隣家様と距離が近く、またお隣様は駐車場のため、
足場を設置し高圧洗浄を行うとトタン屋根を葺き替える金額に達してしまいます。
I様のトタン屋根の場合は長い目で見ると、葺き替えされた方が、
デメリットが少ないかなと思い「葺き替え」のご提案を致しましたが、
今回は塗装(塗り替え)で持たせることになりました。
ただ、既存の塗膜を完全に除去する訳ではないため、数年後 除去しきれなかった、
既存の塗膜が剥がれてしまうと、今回塗装した塗膜も一緒に剥がれてきてしまいます。
剥がれるリスクをご理解して頂いてからの塗装となってしまいますが、
塗装させて頂くからには、少しでも錆びにくく剥がれないようケレン・塗装をさせて頂きました。
トタン屋根のケレン作業/下地処理
棟包みの中に、土等が入っている事が多いため、ブロワ―で風を送ってみると
やはり土等が入っていたため、できるだけ取り出し清掃しました。
画像を見て頂くと分かりますが、所々既存の塗膜が剥がれているため
ワイヤーブラシやペーパーなどを使用し
剥がれている塗膜(死膜)/剥がれそうな塗膜は、できる限り剥し除去します。
塗膜の除去後、ペーパーやワイヤーブラシなどで、もう一度ケレン作業を行います。
ケレンはひたすらゴシゴシと擦る(削る)作業で、かなり地味ですが、
この作業にどれだけ「手間」をかけるかによって、塗膜の付着性や錆びにくさが変わってきます。
現在、主流の錆止め塗料はエポキシ樹脂塗料で付着性に優れているとは言え
やはりケレン(目荒らし)を行った方が良い結果も付着してきます。(^^)
ケレン作業で出た剥がれた塗膜(ケレンカス)は、集塵機で吸い取りました。
瓦棒の小口も、下地処理を行うため
マイナスドライバーやワイヤーブラシ等を使いケレンを行いました。
瓦棒は手ケレンで作業しましたが、面積の大きい所はディスクグラインダーに
金属製のワイヤーブラシではなく、
ナイロンと研磨砥粒のワイヤーブラシ「エヌグリット」を装着しケレンを行いました。
エヌグリットでケレンする前にメタコンディスクという研磨材でもケレンしてみましたが、
既存の塗膜が軟化し目詰まりしてしまい駄目でした。(T_T)
あまり意味が無いような気もしますが、
ディスクグラインダーに集塵カバーを装着し、少しでも粉塵を出さないよう作業を行いました。
玄関の上のトタン屋根は横葺きで、ハゼの折曲がった箇所に錆が発生しておりました。
折曲がった箇所に発生している錆しているため
目の粗いペーパーなどで錆を除去しました。ケレン(錆除去)は錆止めを塗装してしまうと、
どの程度 錆を除去したのか分からなくなってしまうため、簡単に済ませる事も可能です。
ただ、ケレンを省略・または簡略し、高価な錆び止め塗料を使用したとしても、
ケレンが甘い場合、錆の発生が早くなります。
錆止め塗料に頼るより、できるだけ錆を除去した方が錆びにくいと言われていますので、
なるべく錆を除去します。
(ただし、ケレンができにくい箇所や環境によっては、できない場合もあります)
ハゼの中にも土等が入っているため、ペーパーで除去しました。
エヌグリットでケレンできる場合もありますが、今回は隙間が狭く不可能でした。
霧除けも同様に
ケレン作業を行いました。
雪止めは錆びており、ケレン・錆止め・上塗り2回塗装するなら
新しい雪止めに交換した方が錆びにくく、安く済みます。
また、雪止めと瓦棒の接触部分が錆びている事もありますので、交換をお勧めしております。
この接触部分の錆びは雪止めを撤去するか動かしてみないと分かりません。
雪止めを撤去した際、画像を撮るのを忘れてしまいましたので、
違う現場の画像でご紹介したいと思います。
こちらの現場も雪止めが錆びており、交換させて頂きました。
雪止めの撤去は簡単で、最初にインパクト(14インチ)でボルトを外します。
ボルトを外すと、この部分だけが残るので、ペンチ等で広げ簡単に撤去できます。
雪止め 分解後です。
同じ現場でも、錆びている箇所と錆びていない箇所があり、
この箇所は、かなり錆びていました。この接触部分は雪止めを撤去・移動
させないと塗装できないため、雪止めを交換せずトタン屋根を塗装すると
この錆びから錆汁が流れ、早期に美観を損ねてしまう場合があります。
画像をクリックして頂くと、雪止め撤去の動画をご覧いただけます。(youtube/約2分40秒)