屋根はカラーベスト/スレート/コロニアルと呼ばれる屋根材で、
経年劣化で表層の塗膜が劣化し苔等が発生しやすいです。
カラーベストはトタンと比べると苔等が付着しやすく美観を損ねやすい傾向にあります。
カラーベストでも「パミール」と言う製品は、塗装できませんので、
張り替えもしくはカバー工法となります。
屋根塗装/高圧洗浄(水洗い)
K様の屋根も経年劣化で表層の塗膜が劣化し苔等が発生していました。
カラーベストを塗装する前に高圧洗浄機で水洗いを行いますが、
棟包み(トタン)の重なり部分にシーリングが充填されていなかったため、
シーリングを充填。
足場を設置してからメッシュシートを張っておりますが、
カラーベストの洗浄の場合メッシュシート1枚だけですど、
汚れ等が隣人様宅に飛散してしまう可能性が高いため、
当店ではメッシュシートを2枚張り重ねたり、
ブルーシート・ヒサンガード等で、飛散対策を行ってから洗浄を行います。
水洗いは高圧洗浄機を使用しますので、桶に水を貯めながら作業を行います。
水は施主様からお借りしますので、
桶が一杯になると自動で止まるフロート弁を装着し節水しながら作業を行います。
飛散対策をしてから新品のノズルを装着しレバーを引くと、
なぜか調子悪く洗浄できませんでした。
だめもとで震災で水没し錆びてしまったノズルを装着してみると、
なんと普通に使用できました。(^^)
カラーベストを洗浄する場合は通常のノズルではなく、
スーパーターボノズルに変え洗浄力を1.3倍にして洗浄を行います。
汚れがガンガン跳ね返ってくるため、私の足が物凄く汚れております。
9時半頃から洗浄を開始。
苔が落ちている所は洗浄後です。カラーベストの洗浄は洗うというよりは削るような感覚です。
トルネード洗浄完了後 ノズルを交換し、
洗い残しがないか確認しながら すすぎ洗いを行います。
最後に軒樋も洗浄して屋根の水洗いは完了しました。
洗浄完了後。(翌日撮影した画像です)
屋根の平米数が122㎡で、9時30分頃から開始し休憩・昼休みもせず、
ひたすら洗い続けて17時頃に終わりました。
屋根だけの洗浄に約7時間も「かかった」のではなく「かけました」。
同じ洗浄でも、4時間で終わらせる事も可能ですが、
洗浄をおろそかにすると、どんな良い塗料で塗装しても
剥がれてしまう可能性が高くなってしまいます。
現場で作業する人数にもよりますが、基本的に塗装工事は下地/素地調整に手間(時間)がかかり、
塗装間隔(塗り重ね時間)・天気(雨・雪・夜露等)等を考
え工事を行うと工期が長くなる傾向にあります。
屋根塗装/下塗り3回塗り
洗浄後、下塗りを塗装する前に棟包みや雪止めに錆止めを塗装します。
錆止めを塗装する前に、ペーパーやケンマロン等で錆を除去したり、
塗膜の付着性を向上させるために傷を付けます。
こういった作業をケレン/目荒らしなどと言います。
(高圧洗浄で細かい傷を付けたり、錆を除去することは不可能です)
こちらの現場で目荒らしを行うとどれだけ付着性が向上するか、
水性2液形プライマーを使用し付着性テストを行いました。
結果はブログで紹介しておりますので、こちらをご覧ください。
棟包みに打たれている釘が浮いていないか確認すると、数ヶ所浮いていましたので
叩き直しました。叩き直しても効かない時はビスで止める場合もあります。
雪止めはステンレス製ですが、多少錆びておりました。
外観から、このステンレスはsus〇〇〇とは分からないため
磁石を使い雪止めに付けば400系、付かなければ300系等とおおざっぱにですが判断できます。
ちなみにステンレスの種類は200種類以上あるそうです。
カラーベストの雪止めのカタログを拝見すると、
ステンレス製は2種類あり(sus430とsus304)
磁石が付けばsus430となります。
ステンレス雪止めに塗装する錆止め塗料は弱溶剤2液形ウレタン樹脂塗料です。
ステンレス(sus430)にも塗装可能となっていますが、
剥がれやすい部材ですので入念に目荒らしを行います。
雪止め塗装中。
棟包み(トタン製)なども、錆び止め塗装。
棟包み等に錆止めを塗装後、屋根にシーラー(下塗り塗料)を塗装します。
カラーベストはトタンと違い吸い込みがあるため、下塗りの回数は劣化具合で異なり、
塗料メーカーの塗装仕様にも下塗りは1~2回塗りとなっています。
実際、屋根を高圧洗浄機で洗浄してみないと、
どの程度劣化しているか断するのが難しいため、
当店ではカラーベスト/コロニアル/スレートの場合は
下塗り2回塗りでお見積もりさせて頂いております。
(下塗り1回塗りで「ぬれ色」になれば1回塗りの料金となります)
予想通り下塗り1回塗りでは吸い込まれて「ぬれ色」にはなりませんでした。
下塗り2回目塗装中。
下塗り2回塗りが終わり屋根を見るとどうも納得いかないので、
下塗り3回目を塗装するか考えましたが、
答えが出そうにないので神奈川県の曽根塗装店さんに連絡し
アドバイスを頂くと「地獄の下塗り3回塗りの仕様があるよ」と教えて頂きましたが、
今回は同じ塗料で下塗り3回目を塗装させて頂きました。
下塗り3回目完了。(下塗り3回目の塗装は当店のサービスです)
屋根塗装/上塗り2回塗り
カラーベストを塗装する場合、「縁切り」という作業を行います。
「縁切り」は下塗り完了後にタスペーサーという縁切り部材を挿入するか、
上塗り塗装完了後に重なり部分に
溜まった塗膜をカッターや皮スキ等で切る方法があります。
当店では縁切り作業はタスペーサー(※ダブル工法)をお勧めしております。
塗装完了後にカッター等で塗膜を切る方法でも良いのですが、
切った塗膜が再度密着するおそれや塗膜を切る手間等を
考慮すると、タスペーサーの方が確実に縁切りできます。
ただし、タスペーサーを挿入しても塗装の仕方によっては
隙間が埋まり縁切りした意味がなくなってしまう事もあります。
この縁切り作業を省略すると、
通気性が悪くなり雨水が排出されにくくなってしまうため、雨漏りしやすくなります。
経年劣化でカラーベストが3㎜程度反り塗装しても重なり部分が塗料で埋まらなければ、
タスペーサーも縁切り作業も不要となります。
※タスペーサー
シングル工法=カラーベスト1枚に対してタスペーサーを1枚挿入。
ダブル工法 =カラーベスト1枚に対してタスペーサーを2枚挿入。
タスペーサーは02・03と2種類ありますが、今回は02を使用します。
タスペーサー挿入前は重なり部分の隙間が2㎜前後ですが、
タスペーサー02を挿入することにより約1㎜空き3㎜前後のスペースができました。
これで上塗りを塗装できる状態になりました。
(どの部位も同じですが、上塗り塗装するまでの道のりが意外と長いのです)
画像のように塗装前から約2㎜程度隙間があれば、
塗料で埋まりにくいと思いますが、方角や位置が違うと
隙間の間隔が異なります。今回もタスペーサー02を挿入して、
効果がある場合はそのまま挿入し、挿入しても効果がない部分は抜きました。
タスペーサーを挿入している動画です。 動画←クリック
今回使用した上塗り塗料は
水谷ペイントの弱溶剤2液形アクリルシリコン樹脂塗料の
パワーシリコンマイルドⅡで色はナチュラルグレーです。
下塗り塗料もそうですが、上塗り塗料にもグレードがあり安価な塗料もあれば
高価な塗料もあります。屋根は外壁と比べると過酷な環境にさらされますので、
少しでも美観と保護を求められる場合は期待耐用年数の長い塗料や屋外暴露(実暴露)で、
実績のある塗料をお勧めしております。
上塗り1回目。
当たり前ですが、美観と保護を考え塗装させて頂きました。
上塗り1回目も2回目も希釈は15%で行いました。
ビフォーアフター屋根塗装/
施工前
上塗り2回目
ビフォーアフター/北面
下塗り3回目
上塗り2回目
ビフォーアフター/屋根塗装
施工前