軒天塗装
軒天(上裏)はケイカル板(けい酸カルシウム板)で、築年数から考えると、
AEP(アクリルエマルションペイント)で塗装されていると思われます。
ジョイント部分は樹脂製ではなく、鉄製で錆が発生していました。
ジョイント部分はこのように錆びていたため、
ペーパー(#60~#80)でできる限り錆を除去しました。
釘頭も所々錆び発生しておりましたので、こちらも同じように錆を除去させて頂きました。
ジョイント ケレン後です。
これ以上ケレン作業を行うと、ケイカル板が深く傷ついてしまうため、
この辺が限界と判断させて頂きました。
錆除去後、錆止めを塗装しました。
錆止めは1液形より2液形の方が塗膜性能(防錆び・付着性等)が優れているため
エスコNBセーフティ(弱溶剤2液形エポキシ樹脂塗料)を使用させて頂きました。
この角の部分は欠落しかけていたため、
クイックメンダー(接着剤)で接着。
軒天と破風の隙間はボンドコーク等では埋まらないため、コーキング/シーリングで充填。
軒天は通常 非水分散型塗料(ケンエース・セラマイルド等)を2回塗ると仕上がりますが、
この立ち上がり部分は劣化が早く塗膜が剥がれていたため、
下塗りを2回塗装してから上塗りさせて頂きました。
軒天は屋根と違い、直接 紫外線が当たらないため劣化しにくい部位と言われていますが、
このように立ち上がっている部分は、風や雨が当たりやすいため、劣化が早い傾向にあります。
軒天をケンマロン(研磨剤)で軽く目荒らしを行い、上塗り1回目塗装中です。
どの部位も塗装するより下地処理・素地調整に手間(時間)がかかります。
上塗り2回目も同じ塗料・同じ色で塗装するため、
塗り残し等に気をつけながら塗装させて頂きました。
鼻隠し(破風板)塗装
現場調査(御見積り)に伺った時、破風の塗膜が所々剥がれているのを確認しました。
この破風の塗膜は新築時に塗装したものなので、
塗料選択ミス・下塗り塗装の省略・素地/下地調整に問題があったとおもわれます。
塗膜の剥がれは東・西面で発生しており、南・北面では発生しておりませんでした。
このように一部分 塗膜が剥がれていると、その周辺の塗膜も付着が悪いケースがあり、
現在 剥がれていない塗膜が1年後あるいは3年後に剥がれてくる可能性もあります。
そのため、塗り替えしても新築時の塗膜が剥がれてしまうと、
塗り替えした塗膜も一緒に剥がれてしまうため、リスクを伴ってしまいます。
こういった場合は付着不良の塗膜をすべて除去してから塗装するのが理想ですが、
付着不良の塗膜をすべて除去する手間(工事金額)を考えると、
張り替えもしくはトタンを巻いた方が良いケースもあります。
この事を施主様にご説明し、
リスクを理解して頂いてからの塗装となりましたので、
少しでも剥がれにくくなるよう作業させて頂きました。
塗装・水洗いする前に既存の塗膜の付着性がどの程度あるのか、
ガムテープとマスキングテープ(粗面)を使用し付着性テストを行いました。
現場で容易にできる付着性テストはガムテープやマスキングテープ等を塗膜にしっかり貼り
勢いよく剥がすとテープにどれだけ既存の塗膜が付着してくるかを確かめるテストです。
結果は既存の塗膜がかなりガムテープ等に付着したため、付着性不良と判断致しました。
違う箇所でも付着性テストを行ってみると
あまり良い結果ではありませんでした。
高圧洗浄で破風を洗浄してみると、付着性の悪い塗膜はある程度剥がれ落ちましたが
これで、付着不良の塗膜をすべて除去した事にはなりません。
高圧洗浄後、もう一度付着性テストを行いましたが、
結果は洗浄前よりは良いですが、やはり付着は悪い傾向です。
塗膜は押される力には意外と耐えますが、引っ張られる力には弱いです。
ただ、塗り替え後にこのようにテープ等で引っ張られる力は自然界にはありませんので、
ここまで付着性テストを行う意味があるのかと考える事もあります。(^_^;)
(実際 築17年でガムテープを貼り剥さなければ剥がれなった塗膜です)
予定では弱溶剤2液形のシーラー(下塗り)を使用する予定でしたが、付着性の悪い塗膜に
弱溶剤の下塗り塗料を塗装すると、リフティング(塗膜がシワシワなる)等の
不具合が起こる確率が高くなります。
弱溶剤の下塗り塗料で破風をすべて塗装してから、不具合を確認するのではなく
テープで容易に剥がれた部分に試し塗りしリフティング現象が起こるかテストを行いました。
結果、リフティング現象は発生しませんでしたが、この部分では不具合が起こらなくても
他の部分で不具合が起きる可能性もあるため、今回は弱溶剤の下塗り塗料ではなく
水性2液形の下塗り塗料を使用し不具合を回避致しました。
こちらの破風/鼻隠しはトタンではなく窯業系ですので、
シーリング(コーキング)が充填されており、
経年劣化で弾力性が弱くなっているため撤去し打ち直します。
西面は軒樋が設置されていないため、
通常通りシーリングを打ち直しできますが北・南面は軒樋が設置されているため、
軒樋を一旦外さない限りシーリングをすべて打ち直しできません。
こちらの件も施主様と相談した結果、できる範囲で打ち直す事になりました。
予定通り、軒樋を外さずできる限りシーリングを打ち替えましたが、
どうしても上まで、打ち替えしたかったので軒樋を一旦撤去させて頂きました。
軒樋を外さず打ち直したシーリングはもう一度撤去し、バックアップ材を挿入してから
変成シリコンNB-LMのシーリングを充填しましたが、
充填後の画像を撮り忘れてしまいました。m(__)m
軒樋の吊金具が錆びていたため、
破風/鼻隠しを下塗りする前にケレンを行い錆び止めを塗装します。
吊金具に錆止めを塗装し、破風/鼻隠しに下塗りを塗装しました。
使用した水性下塗り塗料は関西ペイントのアレス水性エポレジンです。
予定していた下塗り塗料(弱溶剤)より、価格が高価でした。(^_^;)
上塗りは弱溶剤2液形アクリルシリコン樹脂塗料です。
当店で実験し低汚染性に優れていた塗料を使用させて頂きました。
他のアクリルシリコン樹脂塗料と比べると雨筋が付きにくいです。
ビフォーアフター/破風板・鼻隠し
破風板/水洗い後
破風板/上塗り2回目
ビフォーアフター/破風板・鼻隠し
破風板/付着性テスト前
破風板/上塗り2回目