J様邸の外壁は新築時、窯業系サイディングボードが貼られていましたが、
約8年ほど前に金属サイディング(カバー工法)をされたようです。
金属サイディングと言っても、アルミ・ステンレス・亜鉛メッキ鋼板・
ガルバリウム鋼板等あり、外観だけでは判別できません。
外壁塗装/素材の診断・付着性テスト
外壁に磁石が付けば亜鉛メッキ鋼板またはガルバリウム鋼板、
磁石が付かなければアルミ・ステンレスと判断できます。
こちらの外壁は磁石が付いたので亜鉛メッキ鋼板かガルバリウム鋼板となります。
当初、外壁はカバー工法で施工してから約8年ほどしか経過していないため、
外壁は塗装しない予定でしたが、トタン屋根を洗う際 外壁が多少汚れてしまいますので、
軽く洗浄させて頂きました。
屋根を洗浄中に外壁の軒下周辺の塗膜が所々浮いている事に気づき、ご報告させて頂きました。
後日、施主様から「足場があるうちに外壁も一緒に塗装してくだい」と言って頂き、
外壁も塗装させて頂く事になりました。
塗装する前に、浮いている塗膜にガムテープを貼り剥がしてみると
容易に塗膜が剥がれ白錆びが発生していました。
金属サイディングは軒下・出窓の下・庇の下などは、塵やほこり・汚染物質が
溜まりやすく錆びやすい傾向にあります。
外壁は金属サイディングのため、下塗りに錆止め塗料を使用しますが、
既存の塗膜はまだ光沢が残っており、
また既存の塗膜(塗料)の種類(シリコン・フッ素・ポリエステルなど)が分かりません。
当店が使用している錆止め塗料を塗装した場合、付着性が良好なのか心配だったため、
目立たない所で2種類(白と赤さび色)の錆止め塗料を塗装し付着性テストをさせて頂きました。
まずはガムテープを貼り力強く剥がし、これで錆止めが剥がれてしまうと付着不良となりますが、
2種類とも剥がれてきませんでした。
次にカッターで碁盤目状に切り、ガムテープを貼り剥がしてみても錆止めは、
剥がれてきませんでしたので、これで安心して作業ができます。
外壁塗装/塗料を弾くシリコーンシーラント処理
ケレンを行う前にシリコンシーラント(ホームセンター等で販売されている安価なコーキング材)が
充填されていました。このシリコーンシーラントは塗料を弾きのりません。
外壁を水洗いしている時に、水を弾くので、
どの部位にシリコーンシーラントが充填されているか分かります。
このままの状態でも、無理やり塗料をのせれば塗装できますが、付着性はもの凄く悪いです。
少しでも付着性を向上させるには、
シリコーンシーラントにも塗装できる専用のプライマーを塗装しなければいけません。
専用プライマー/関西ペイントの「シープラ」です。気温が低いと、粘度が高く塗装しずらいです。
この塗料は1kgセットと少ないですが、価格が15,000円以上とかなり高価です。
シープラは2液形の塗料で4:1の比率で調合し無希釈で使用します。
他にもシリコンシーラントのプライマーがあります。この信越のペインター20もそうです。
価格はシープラの1/3程度で、手頃な値段でシープラより塗りやすいですが、
シープラの方が効果あるように思います。
シリコーンシーラントは水洗いで汚れを除去できたので、
シリコーンシーラントの周辺をケンマロンと言われる研磨材で下地処理を行ってから
シープラを塗装。シルバー色になっている部分が塗装後です。
基本的にシリコーンシーラントの上、なにを塗装しても付着性が悪いため
ペンキ屋はシリコーンシーラントを嫌います。(T_T)
最初から、シリコーンシーラントの上に塗装するのを諦めるのも手ですが、
どうにかならないか、現場で試行錯誤するのもまた面白いんです。(笑)
2014年 シリコーンシーラントに付着性の良い物を発見!
これを使用できる時は、シープラではなくこちらで付着性を向上させています。
(画像をクリックして頂くと付着性テストの動画をご覧いただけます/約1分)
DIYでコーキングを使用する場合は、シリコーンシーラントではなく、
用途に合った変成シリコンがお勧めです。
外壁塗装/下地処理(ケレン作業)
ケレンはディスクグラインダーとペーパー等を使用し行いました。
外壁は凸凹があるため、凹に入りやすいワイヤーブラシを
探し何種類か購入しケレンしてみましたが、
このべベルワイヤーブラシが一番良かったです。
それでもケレン後、凹の部分確認すると所々死膜を除去できていないため
地道に一つ一つ、確実にペーパーや
インパクトにブラシを装着し死膜を除去しました。
こちらの外壁は想像以上にケレン作業に時間がかかり、
上塗り2回塗るより時間がかかったと思います。
ここまでケレン作業を行えば錆びにくく付着性の良い塗膜ができます。
ケレン後。
黒くブツブツになっているところが、塗膜が浮いて錆びいていた部分です。
外壁塗装/錆び止め塗装
ケレン後、外壁に付着性しているほこりやケレンカス等をブロワ―で、
落してから錆止め塗料を塗装します。
錆止め塗料には1液形と2液形あり、今回使用する錆止め塗料は2液形です。
2液型には比率があり、
この関西ペイントのスーパーザウルスは主剤9に対して硬化剤を1を入れ調合し塗装します。
調合後、2液形には可使時間(使用できる時間)があり、
この錆止め塗料は23℃で7時間以内と決まっております。
仮に塗料が 5kg程度 余ったとしても、7時間以上経過した場合は廃棄となります。
(可使時間が過ぎてしまった塗料を使用した場合塗膜性能が発揮できなくなります)
1液形の錆止め塗料は可使時間がないため、塗料のロス・調合する手間がかかりませんが、
2液形の錆止め塗料の方が付着性・防錆性に優れているため、
当店は2液形の錆止め塗料をお勧めしております。
スーパーザウルス(錆止め塗料)を5%希釈し、
錆びにくくなるよう膜厚を意識しながら塗装を行いました。
錆び止め塗装後。
錆び止め塗装後、外壁の上下の重なり部分に隙間が空いてたため、
シーリング充填後。これで隙間の部分が黒く目立つことはありません。
外壁塗装/上塗り2回塗装
上塗り塗料は、鼻隠し(破風)にも使用した弱溶剤2液形アクリルシリコン樹脂塗料で、
汚れ/雨筋が付きにくい超低汚染形の上塗り塗料です。
2液形の塗料ですので、錆止め同様指定の比率で調合し可使時間以内に使用します。
上塗り1回目塗装中です。
当たり前ですが、塗り残し・美観・保護・飛散等を考え塗装を行います。
上塗り1回目塗装後。
上塗り2回目塗装後。
外壁や屋根を刷毛やローラーで塗りますが、塗料が飛散してしまうおそれがあったため、
施主様のお車に自動車カバーをかけさせて頂きました。
足場にメッシュシートを張り塗料の飛散を防いでいますが、
それでも飛散する時もあります。実際、メッシュシートが張ってあっても車に飛散させてしまった。
という話も聞くので念には念を入れて自動車カバーで養生をさせて頂きました。
ビフォーアフター/外壁塗装
J様 本当に長々と作業をさせて頂きありがとうございました。
作業をしながら色々と学ぶ事がありましたが、一番印象に残っている事は
室内の枠(OSCL)の塗り替えで、「油断は最大の敵」だと
改めて思い知らされ、本当に良い経験をさせて頂きました。m(__)m