棟包み等に錆止めを塗装後、シーラーと言われる下塗り塗料で塗装します。
カラーベストはトタンと違い吸い込みがあるため、下塗りの回数は劣化具合で異なり、
塗料メーカーの塗装仕様にも下塗りは1~2回塗りとなっています。
築年数や方角である程度予測できますが、実際どれだけ劣化しているか・
どの程度下塗り塗料が吸い込まれるかは、洗浄後に塗装してみないと分かりません。
塗装前にどの程度劣化しているか判断するのは難しいため、
当店ではカラーベスト/コロニアル/スレートの場合は
下塗り2回塗りでお見積もりさせて頂いております。
(下塗り1回塗りで「ぬれ色」になれば1回塗りの料金となります)
カラーベスト/コロニアルの種類にもよりますが、10年以上経過している場合は
高圧洗浄機の圧力を150Mpaに設定しターボノズルで洗浄すると、
表層が削れ白っぽくなる傾向にあります。
屋根は過酷な環境にさらされるため、外壁より劣化が早いです。
カラーベスト/コロニアルの下塗り塗装
下塗り塗料も上塗り塗料と同じで水性・油性塗料(弱溶剤/強溶剤)と種類があり、
1液・2液タイプがあります。
現在は塗膜の不具合(リフティングなど)の発生や臭い・環境問題から、
強溶剤の塗料は使用されることが
少なくなり弱溶剤塗料・水性塗料が主流になっています。
当店の施工エリアは宮城県内ですので、
屋根塗装の場合は水性塗料ではなく油性の弱溶剤塗料をお勧めしています。
2液形塗料は「主剤」と「硬化剤」に分かれており、指定の配合比率があります。
このKFマイルドシーラーⅡは比率は主剤が7で硬化剤が1です。下の缶が主剤で上の缶が硬化剤です。
塗料が変われば指定の比率も変わり、14対1や9対1など様々あります。
主剤と硬化剤の比率は感では分かりませんので、はかりで計測します。
自作の配合表を確認しながら、硬化剤を入れ
2~3分しっかり撹拌します。
2液形塗料のため、主剤と硬化剤が混ざると可使時間(何時間以上何時間以内)という制限が
発生しますので、可使時間や塗装間隔を管理します。
可使時間は気温や塗料で異なりますが、屋根での作業の場合は
地上より暖かいため、早めに使いきれる程度しか塗料を作りません。
はかりを使わず感で撹拌しても塗料は塗膜へ形成しますが、
当店はしっかりとした塗膜性能を発揮させたいため
1kgでも200gでも、はかりで比率を計測し混合します。
4年前、下塗り塗料を2人分(1人2kg程度)段取り、足場に上がると雨が降ってきてしまい
1滴も使用せず4kg廃棄になったこともありました。(T_T)
2液形の塗料は翌日固まらなくても、主剤と硬化剤が化学反応しているため使用できません。
1液形塗料には可使時間の制限がありませんので、翌日でも使用可能ですが、
2液形塗料の方が塗膜性が優れているため、
当店ではこういったデメリットを含めても2液形をお勧めしています。
下塗り1回目を塗装すると「濡れ色」にはなりますが、
時間が経過すると、下地に吸い込まれ「吸い込みムラ」が発生しています。
下塗り2回目を塗装すると時間が経過しても「濡れ色」のままの状態になり、
上塗りが塗装できるようになりますが
その前に当店では縁切り部材のタスペーサーを挿入し雨水の排水と通気性を確保します。
縁切り部材「タスペーサー」設置
カラーベストを塗装する場合、「縁切り」という作業を行います。
「縁切り」は下塗り完了後にタスペーサーという縁切り部材を挿入するか
上塗り塗装完了後に重なり部分に溜まった塗膜をカッターや皮スキ等で切る方法があります。
当店では縁切り作業はタスペーサーをお勧めしております。
その理由は塗装完了後にカッター等で塗膜を切る方法でも良いのですが、
切った塗膜が再度密着するおそれや塗膜を切る手間等を考慮すると、
タスペーサーの方が確実に縁切りできます。
ただし、タスペーサーを挿入しても塗装の仕方によっては
隙間が埋まり縁切りした意味がなくなってしまう事もあります。
この縁切り作業を省略すると、通気性が悪くなり雨水が排出されにくくなってしまうため、
雨漏りしやすくなる構造を作ってしまいます。
経年劣化でカラーベストが3㎜程度反り塗装しても重なり部分が塗料で埋まらなければ、
タスペーサーも縁切り作業も不要となります。
※タスペーサー
シングル工法=カラーベスト1枚に対してタスペーサーを1枚挿入。
ダブル工法 =カラーベスト1枚に対してタスペーサーを2枚挿入。
縁切り部材のタスペーサーは02と03の2種類あります。
当店では02を使用することが多いですが、
カラーベストの劣化具合で03へ変更する場合もあります。
タスペーサーは縦目地から10~15cm もしくは15~20cm以内に挿入します。
10cm以内に挿入した場合は割れる恐れがありますのでNGです。
雨水の排水と通気性を考慮すると、シングル工法よりダブル工法をお勧めしております。
お見積りでは基本ダブル工法で提出させて頂いております。
タスペーサーは一箱500入りで、約10㎡に対して100個使用するため、
100㎡あれば2箱(1,000個)必要となります。
タスペーサー設置前は約2㎜程度空いてますが、
タスペーサー設置後は約3~4㎜程度まで空きますので、
塗装後カッターで塗膜を切る必要は無くなります。
劣化でカラーベスト/コロニアルが3㎜程度反っていれば
タスペーサーの設置/縁切りは必要ないと思いますが、
使用する塗料や塗装の仕方によっては隙間が塞がってしまう場合もあると思います。
タスペーサーは下塗り後に設置するため、下塗り塗装した時に重なり部分が塞がらないのか?と
思われる方もいらっしゃると思いますが、多少密着します。
カラーベスト/コロニアルの反りは築年数や方角によって異なり、
仮に南面が2~3㎜隙間が空いていれば
それほど密着しませんが、隙間が1㎜程度の場合は多少密着します。
(この画像は約10年程度経過したカラーベスト/コロニアルの北面で約1㎜程度隙間があります)
濡れている部分が下塗り塗装後です。
足場の足の絡みで2~3枚を塗装するため刷毛で塗装しました。
刷毛で塗装後、皮スキでカラーベストを上げると
毛細管現象で下塗り塗料が上のカラーベストへ入り込んでます。
これをローラーで上下に塗装すると、おそらくこれ以上の塗料が入り込み乾燥/硬化します。
これを下塗り2回・上塗り2回塗装=4回塗装を行うと重なり部分は埋まりやすくなってしまいます。
縁切りされていないカラーベストはこのように重なり部分が塗膜で埋まっていることが多く
雨水の排水や通気の確保は難しくなります。
これを再塗装する場合は、塞がっている部分を切る必要があります。
縁切りはカッターや皮スキなどで行うこともできますが、かなり時間がかかるため、
カットソーで縁切り作業を行いました。約100㎡ 縁切りするだけで6~8時間程度かかりました。
カットソーで塗膜を切ると、隙間があき雨水の排水と通気が確保できます。
カラーベスト/コロニアルを塗装する場合が縁切り・タスペーサーは必須とは言いませんが、
塗装後のメリット・デメリットを考えると、当店ではタスペーサーをお勧めしています。
カラーベスト/コロニアルの上塗り塗装
タスペーサー設置後に上塗り塗装を2回塗装します。
上塗り塗料も水性・弱溶剤・強溶剤と種類があり、1液・2液タイプもあります。
カラーベスト/コロニアルに使用する塗料は弱溶剤塗料・水性塗料が主流になっており、
当店の施工エリアは宮城県内ですので、水性塗料ではなく弱溶剤2液形塗料をお勧めしています。
2液形塗料は「主剤」と「硬化剤」に分かれています。上塗り塗料は弱溶剤タイプのため、
専用シンナーや塗料用シンナーで希釈します。
主剤と硬化剤の比率や希釈率は塗料によって異なります。
このKFワールドフロンルーフは主剤が7で硬化剤が1で希釈率は10~15%前後です。
一日に多い時に4~5回も混合するため、毎回電卓で計算するのも手間がかかり、
比率の間違いなど防ぐために、自作の配合表を作成し確認しながら主剤と硬化剤を混ぜます。
希釈も配合表を確認しながらシンナーを入れます。
刷毛などで、クルクル撹拌しても混ざりますが、主剤と硬化剤・シンナーを均一に撹拌したいため
インパクトにペイントミキサーを装着し2~3分程度撹拌します。
塗装前に夜露などで屋根が濡れていないかも確認してから、
ゴミやほこりなどをブロワー(風の出る機械)で清掃します。
カラーベスト/コロニアルの塗装に仕方は、施工業者によって異なり
ローラーを縦に転がし塗装する方法と重なり部分を刷毛で塗装してから
ローラーを横に転がす方法があります。 当店は基本後者の方法で塗装しています。
刷毛塗りもローラーも「膜厚」と「美観」や塗料の飛散などを考え塗装します。
2液形塗料は気温によって乾燥や硬化時間が変動するため、
使用している刷毛やローラーが固まりやすくなります。
画像では分かりませんが、午前中で固まってきたローラーです。
一度固まりしだしたローラーは使えませんので新しいローラーを使用します。
気温や塗料によって硬化時間は異なりますが、
比較的硬化が早い塗料は翌日にはこのように硬化します。
硬化した塗膜を翌日確認しすることによって、
塗料の比率の間違いがないか再確認します。
(塗料によっては2~3日硬化しない塗料もあります)
下塗り2回塗り→上塗り2回塗り後
下塗り2回塗り後、上塗り1回目塗装中
上塗り2回目塗装後
下塗り2回塗り→上塗り2回塗り後
下塗り2回目塗装後
上塗り2回目塗装後
ビフォーアフター
施工前
施工後
どの部位も同じですが、使用する塗料を大事ですが、どのように考え現場で塗装するかの方が重要です。
屋根は外壁と比べ、過酷な環境(雨・紫外線・熱・鳥の糞など)にさらされますので、
「耐候性に優れている塗料」もしくは「耐候性に優れているであろう塗料」をお勧めしております。