カラーベスト/コロニアルの屋根には、棟筒みや唐草・雪止めなどもあるため一緒に塗装します。
棟包みや雪止めは、カラーベスト/コロニアルと材質が異なるため、同じ下塗り塗料ではなく、
下塗り塗料を変えて塗装します。また下地処理も異なります。
棟包みや唐草・ケバラはトタン製で亜鉛メッキ鋼板もしくはガルバリウム鋼板のため、
下地処理/ケレン後に錆び止め塗料で塗装します。
雪止めは、鉄製・ステンレス製があり、ステンレス製は2種類あり(SUS430/SUS304)
こちらも、下地処理/ケレン後の錆び止めもしくは密着の良い下塗り塗料を塗装します。
棟包みのジョイント(重なり部分)には、
ペンキ屋が嫌う「シリコーンシーラント」が充填されていることが多く
こちらも、専用の下塗り塗料もしくは付着性の良い物で、付着性を向上させます。
シリコーンシーラントの処理を行わないと、
塗膜の剥がれや塗料の弾きなどが起こりやすくなります。
(基本的に、シリコーンシーラントの上には塗料・塗材などの付着は悪いです。
ただし、なにも対策しないよりは何らかの対策をした方が付着は向上します)
棟包み(トタン製)の下地処理・下塗り
屋根を洗浄する時に棟包みも洗浄していますが、より付着性を向上させるために
目荒らし/ケレン作業を行います。
下地処理(目荒らし/ケレン)=目荒らし/ケレンを行うことによって付着しているゴミ・ホコリや
錆び等を除去し、細かい傷が付くため、塗膜の付着性が向上します。
目荒らし/ケレンは、研磨材(ケンマロンやペーパーなど)で擦ります。
傷が付いている部分が目荒らし後です。
下から見ると雨樋などで見えない唐草(屋根の下のトタン)も同じように、
研磨材を使用し下地処理をします。
棟包みは、大抵釘で押さえられていますが、(現在はビス止めされている新築現場もあるようです)
トタンの収縮や釘の打たれ方などによって、釘が少し抜け出てきています。
打ち直して効く場合は、そのまま塗装しますが、
釘が効かない場合はステンレスのビスで止めます。
(釘を抜いた部分はシーリングやエポキシパテで埋めます)
ビスでも効かない場合は、下地(木材)が腐っている可能性もあります。
下記の画像はビスが効かないため、トタンを外すと下地(木材)が腐食していました。
ビスが効かない場合は、一旦トタンを撤去した方が良さそうです。
腐食していた下地は交換しました。
ケレン後、錆び止め塗料を塗装します。
錆び止め塗料は1液形と2液形とありますが、
当店では付着性や防錆などを考え基本的に2液形で塗装させて頂いています。
(既存の塗膜の状態が悪い場合は、1液形を使用することもあります)
錆び止め塗料にも、インターバル(塗装間隔=何時間以上何日以内に塗装してください)の
制限がありますので、塗料の調合・インターバルを管理します。仮にインターバルを超えた場合は、
目荒らしなどで付着性を向上させる方法と再塗装の方法などがあります。
唐草やケラバなども同じように錆び止めを塗装して、棟包みや唐草などの下地処理/下塗りは完了です。
雪止めの下地処理・下塗り
宮城県は山形県や岩手県と比較すると、あまり雪が積もらない地域かもしれませんが、
トタン・カラーベスト/コロニアルの屋根には雪止めが設置されていることが多いです。
雪止めも材質が異なり、鉄製やステンレス(SUS430/SUS304)などがあり
鉄製の場合は、ほとんど錆びており、ステンレス製と言っても「SUS430」だと、
若干錆びが発生している場合もあります。
雪止めの塗装も、棟包みと同じ下地処理(目荒らし/ケレン)を行い付着性を向上させてから、
錆び止め塗料や下塗り塗料で塗装します。
鉄製/雪止めの下地処理と下塗り塗料
鉄製の雪止めは、ステンレス製の雪止めと比較すると
錆びやすく下地処理・錆び止めにも時間がかかります。
下地処理はワイヤーブラシ(鉄製)などを使います。
完璧に錆を除去するのは不可能ですので、
できる限り錆を除去します。(ケレン後)
錆び止めは弱溶剤2液形エポキシ樹脂塗料を塗装する予定でしたが、
その前に、エスコ ラストフリーザーという「浸透形特殊さび固定剤」を塗装しました。
◇エスコ ラストフリーザーの特徴◇
素地調整が十分に出来ない現場環境において「エスコ ラストフリーザー」は、
防食性の向上・維持に寄与する新技術の補修塗装用「浸透形特殊さび固定剤」です。
<特長>
① 素地調整が十分に出来ない現場環境下でも下塗塗装の前に、
さび面への補修塗装を行う事で、錆の生成を抑制します。
② 浸透性さび固定化機能により、さび層内に深く浸透し、
脆弱なさび層全体を強力に固定化します。
などの特徴があります。
錆び止め1回塗りよりは、このラストフリーザーを塗装した方が錆びにくくなるはずです。
ラストフリーザーを塗装。希釈は無希釈で塗装しました。
乾燥後、弱溶剤2液形エポキシ樹脂塗料の「エスコNBセーフティー」を塗装。
雪止め1個塗装するのに、かかる時間は約1分43秒。
ラストフリーザーを塗装するのも同じ時間がかかるため、
雪止め77個×103秒=約2時間12分×2=4時間24分かかります。
色が濃い雪止めがラストフリーザー(浸透形特殊さび固定剤)
色が薄い雪止めがエスコNBセーフティー(弱溶剤2液形エポキシ樹脂塗料/錆び止め)です。
鉄製の雪止めの下地処理→浸透形特殊さび固定剤→錆び止め完了です。
ステンレス/雪止め下地処理と下塗り塗装
ステンレス製とはいえ、このように若干錆びが発生していますが、
鉄製のように錆が深い訳ではありませんので
下地処理は、鉄製より短時間で完了します。
違う現場の雪止めですが、同じように表・裏側に若干錆が発生しています。
ステンレス製は鉄製と比較すると付着が難しいため、
しっかり下地処理(目荒らし/ケレン)を行います。
下地処理の仕方は施工業者によってことなりますが、
当店ではインパクトにブラシを装着し下地処理を行います。
ブラシで下地処理できない細部は、ケンマロンなどの研磨材で行い下地処理は完了です。
ステンレスの雪止めは形が数種類ありますが、
このタイプの雪止めは下地処理しやすく約1分30秒程度で下地処理を行えます。
仮に下地処理(目荒らし/ケレン)を行わず塗装すると、
このように剥がれやすくなってしまいます。
この雪止めは高圧洗浄でも剥がれ、死膜(剥がれている塗膜/剥がれそうな塗膜)を
できるだけ除去し塗装しました。
次回の塗装(塗り替え)のことまで考えれば、下地処理を簡略/省略はできませんが、
塗装すると分からなくなるため、省略されやすい傾向にあります。
ケレン後、弱溶剤2液形エポキシ樹脂塗料/錆び止めを塗装。
雪止めステンレス製の下地処理と下塗り塗料は完了です。
ステンレス製で既存の塗膜の状態が悪い場合は下地処理などに時間がかかってしまうため、
余計な費用がかかる場合があります。
シリコーンシーラントの処理作業
棟包みのジョイント(重なり部分)に塗料がのらないシリコーンシーラントが
充填されていることが多く、これは屋根に限ったことではなく
外壁やエアコンカバーなど至る所に使用されています。
シリコーンシーラントの処理を行わないと、
塗膜の剥がれや塗料の弾きなどが起こりやすくなります。
基本的に、シリコーンシーラントの上には塗料・塗材などの付着性は悪いのですが、
なにも対策しないよりは、何らかの対策をした方が付着は向上します。
シリコーンシーラントは、ホームセンターなどでも安価で販売されているため、
DIYで使用され場合も多いようです。
シリコーンシーラントの上にはシリコーンシーラントしかのらないと言われています。
シリコーンシーラントの注意事項には「塗料はのりません」と記載されています。
付着性を向上させる専用の下塗り塗料があります。現在2~3種類程度販売されていると思いますが、
当店では関西ペイントの「シープラ」(弱溶剤2液形エポキシ樹脂塗料)を使用しています。
シープラはたった1kgセットで15,000円以上する高価な下塗り塗料で、
安価な水性アクリルシリコン樹脂塗料と比較しても高いです。(>_<)
画像は棟包みではありませんが、
外壁のひび割れなどにもシリコーンシーラントが充填されていることも多いです。
(画像はシープラを塗装中です)
少し話はそれてしまいますが、
当店で2014年5月にシリコーンシーラントに付着性する塗料が他にもあるのでは??と思い
第1回シリコーンシーラント付着性テストを行ってみました。(笑)
あまり粘着の強くないマスキングテープを貼り剥す簡単な付着性テストを行うと
普通の塗料は簡単に剥がれましたが、専用の下塗り塗料は剥がれませんでした。
ただし、ガムテープなど付着性テストを行うと、
専用の下塗り塗料とは言えは付着性は良くは無いと思います。
(付着性に関しては、シリコーンシーラントの劣化・種類などによっても異なります)
実験の結果、ガムテープでも付着性が良好な物が2種類発見できたので、
現在はシープラと付着性テストで良好な物で下地処理しています。
話は戻り、シリコーンシーラントが充填されている部分を弱いシンナーなどで拭いてから
このように、下地処理を行いました。
こちらの下地処理は付着性テストで良好な物で処理しました。
新築時から棟包みのジョイントにシリコーンシーラントが充填されていない場合もあります。
その場合は、塗装でき汚染しないタイプの変成シリコンのノンブリードタイプを充填します。
(画像は充填前)
専用のプライマーを塗布しシーリングを充填後、マスキングテープを剥し完了です。
塗装する前の下地処理に時間がかかる理由は、こういった細かい作業があるためです。
下地処理を簡略/省略をすれば、工期短縮は簡単にできますが、
塗膜の付着性や次回の塗装工事の妨げにもなり、また余計な費用が加算でしまう場合もあります。
当店は次の塗り替え(塗装)までのことを考慮し作業させて頂いておりま。