窯業系サイディングボードは湿乾伸縮する外壁材のため、
目地は窓枠等より動きが大きく切れやすい傾向にあります。
シーリングも塗膜と同じで紫外線に弱く、
劣化してしまうと弾力性が弱くなり切れやすくなってしまいます。
シーリング/縦目地打ち替え
当店が外壁塗装の御見積りに伺いシーリングを拝見させて頂くと、
方角や新築時の施工の質(目地の厚さ・巾・プライマー・2面接着等)にもよりますが、
弾力性が弱くなり切れていたり痩せている事が多いです。
(シーリングの厚さを確保できない場合やシーリングが薄い場合は
早ければ5年程度で切れるとも言われています)
当店が目地に増し打ちをお勧めしない理由は、増し打ちの場合、既存のシーリングを撤去せず、
その上からシーリングを薄く充填するため、切れやすく付着性が悪い傾向にあります。
仮に目地を増し打ちし、現在 主流のアクリルシリコン樹脂塗料で、外壁塗装した場合、
次回の塗り替え時期は7~12年前後になりますので、
外壁の塗膜の寿命より 早期にシーリングが切れてしまうと
またシーリング工事だけのために足場の設置などが必要になってしまいます。
目地のシーリングは打ち替えより増し打ちの方が手間がかからない分、
費用は安くすみますが、切れやすく付着性が悪いとなると、良い点は価格のみとなり、
後々の事まで考えると、当店は打ち替えをお勧めしております。
K様邸の目地に充填されていたシーリングは裂けており、弾力性も弱くなっていたため
変成シリコン※NB(ノンブリードタイプ) ※LM(低モジュラス)という、
シーリング材で、打ち替えをさせて頂きました。
※NB(ノンブリードタイプ)通常のシーリング材には可塑剤が含まれており
その可塑剤が表面ににじみ出てベタつき、そこに汚れが付着し黒ずんでしまい美観を損ねます。
この黒ずみを「ブリード/ブリード現象」などと呼びます。
※LM(低モジュラス)=硬化後、柔らかいタイプのシーリング材で、
窯業系サイディングボードに適しています。
HM(高モジュラス)=硬化後、硬いタイプのシーリング材で
窯業系サイディングボードには適しません。
今回、当店が使用しているシーリング材は「NB=ノンブリードタイプ」ですので
ブリードしにくい(黒ずまない・黒ずみにくい)シーリング材です。
縦目地は打ち替えですので、既存のシーリングを撤去します。
撤去する方法はカッターやスピンカッター等で行います。
新築時、2面接着で施工されていれば、シーリングは外壁材の断面と
断面だけに接着(密着)していますので簡単に撤去できます。
ただ、稀に3面接着で施工されている場合ですと、目地底にもシーリングが密着しているため、
2面接着と違い撤去にかなりの手間がかかってしまいます。
御見積り時、シーリングが2面接着か3面接着かを判断するのは難しくカッター等を入れ、
シーリングを引っ張ってみないと分かりません。
ですので、私はシーリングを撤去する際、「3面接着ではありませんように」と
いつも祈りながらスピンカッターで切りますが、たまに祈りが届かない時も・・・・・・
縦樋の裏側にある目地(シーリング)は綺麗に撤去しづらいため、
一旦、縦樋を切断させて頂きました。
切った縦樋は後から継手でつなぎます。
今回は無事願いが通じ2面接着でしたので、カッター等で簡単に撤去できましたが
なぜか一部分 3面接着で施工されており、目地底にシーリングが密着していました。
目地底に残存しているシーリングも撤去しました。
目地に充填されているシーリングはスピンカッター等で簡単に撤去できますが、
断面に少し残存してしまいますので、カッター等で丁寧に削ります。
シーリング撤去後、粉塵等を掃除し外壁にマスキングテープを貼り
外壁の断面に専用のプライマーを塗布します。色が濃くなっている部分が塗布後です。
塗布したプライマーは専用のプライマー「シャーピープライマー(P50)」です。
プライマー塗布後、2面接着にするために目地底にボンドブレーカーを貼ります。
このボンドブレーカーを貼らず、シーリングを充填すると、
目地底にシーリングが接着(密着)し3面接着となり
シーリング/コーキングが切れやすくなってしまいます。
凸の部分で約7㎜ 程度空いていますが、
凹の部分だと約5㎜ 程度しか空いていたないため
シーリング(変成シリコンNB-LM)を目地に充填し、
空気を抜きながら1㎜でも厚くなるようラバーでなでます。
ラバーで押えた後 シーリングが表面乾燥する前に
マスキングテープを剥がし完了となります。
シーリング/コーキング充填後。
使用したシーリングは、ヘンセイシリコンNBLMで色はオイスターホワイトです。
外壁の上塗りの色が19-85Bなので、
シーリングの上の塗膜が割れたとしても目立ちにくいと思います。
シーリングが白でもあまり目立たないような気もしますが、
少しでもって考えるとやっぱり共色施工の方が良いです。
共色施工ついて知りたい方は、シャープ化学さんのブログの記事をご覧ください。
シーリング/窓周り(打ち替え)
見積りでは窓周りは、増し打ちの予定でしたが、
画像のように裂け(切れ)ている部分がありました。
増し打ち=既存のシーリング/コーキングを撤去せず、その上から充填すること。
裂けているシーリングの上に増し打ちしても、
おそらく1~2㎜程度しか充填できないため、
カッターで切り
撤去。シーリングが裂けてから、結構年月が経っている感じでした。
縦目地と同じ変成シリコンNB-LMを充填。
増し打ち後。
外壁と軒天の入隅のコーキングが一部、裂けていたため、
部分的に撤去し
変成シリコンNB-LMを充填。
窓周りは状態が良い場合は、増し打ち・打ち替えしないこともあります。