2015年7月 杉板に
エナメル1種類/木材保護塗料(WP)10種類を塗装後、
南面45度に傾け屋外暴露試験開始。
約4年後の2019年8月に観察し比較しましたが、
結果、約3年後と変わりませんでした。
当たり前ですが、3年後より4年後の方が劣化が進行し、
試験体の塗膜が擦り減ったため、2020年中に撤去します。
このページでは1年後~4年後の耐久性を観察・比較してします。
屋外暴露試験 約4年経過【杉.Ver/Wp】観察・比較
WP木材保護塗料の塗膜が約3年経過すると、どれだけ劣化したか
室内で保管している塗り板と照らし合わせ確認します。
杉.Verは上塗り2回塗りと3回塗りがあり、
塗膜の耐久性などを観察します。
塗料メーカー【T】(比較の基準はこの塗料/塗膜です)
価格/メジャーな塗料で価格は高くもなく安くもない一般的な価格です。
耐候性や耐久性/この塗料が基準のため、「良くも悪くもない」という印象です。
上塗り2回塗りの塗膜は60~70%程度消滅。
上塗り3回塗りの塗膜は30~40%程度消滅。
1年後
2年後
3年後
塗料メーカー【H】
価格/塗料メーカーというより建材メーカーの木材保護塗料で高価です。
耐候性や耐久性/3年後の結果もイマイチでしたが、
4年後はさらに塗膜が消滅しました。
上塗り2回塗りの塗膜は80~90%程度消滅。
上塗り3回塗りの塗膜は60~70%程度消滅。
1年後
2年後
3年後
塗料メーカー【W】
価格/コーティングメーカーの木材保護塗料で非常に高価です。
耐候性や耐久性/3年後で塗膜がほぼ消滅し4年後は完全に消滅。
上塗り2回塗りの塗膜は95~100%消滅。
上塗り3回塗りの塗膜は95~100%程度消滅。
1年後
2年後
3年後
塗料メーカー【R】
価格/Wpではメジャーな塗料で一般的な価格です。
耐候性や耐久性/3年後の結果では基準の【T】と同等でしたが、
上塗り2回塗りは【T】より劣りますが、
上塗り3回塗りは【T】より優れていました。
上塗り2回塗りの塗膜は80~90%程度消滅。
上塗り3回塗りの塗膜は20~30%程度消滅。
1年後
2年後
3年後
塗料メーカー【N】
価格/木部用塗料に特化した塗料メーカーで一般的な価格よりやや安価です。
耐候性や耐久性/価格と耐候性のバランスに優れた塗料です。
上塗り2回塗りの塗膜は10~15%程度消滅。
上塗り3回塗りの塗膜は5~10%程度消滅。
1年後
2年後
3年後
塗料メーカー【Q】
価格/マニアックな塗料メーカーで、一般的な価格よりやや安価です。
耐候性や耐久性/3年後の結果では【T】と同等でしたが、
上塗り2回塗りは【T】より劣り上塗り3回塗りは同等と感じました。
上塗り2回塗りの塗膜は拡大すると わかるんですが、
かなり塗膜が薄くなっているため50~60%程度消滅とします。
上塗り3回塗りの塗膜は10~20%程度消滅。
1年後
2年後
3年後
塗料メーカー【SO】
価格/自然塗料メーカーで価格はやや高価です。
耐候性や耐久性/3年後の結果では【T】と同等でしたが、
約4年後は上塗り2回塗りは【T】より劣りますが、
上塗り3回塗りは【T】より優れていると感じます。
上塗り2回塗りの塗膜は70~80%程度消滅。
上塗り3回塗りの塗膜は10%程度消滅。
1年後
2年後
3年後
塗料メーカー【KR】
価格/メジャーな塗料で価格は一般的です。
耐候性や耐久性/価格と耐候性のバランスに優れた塗料です。
上塗り2回塗りの塗膜は
点状に消滅している部分があるため、10~15%程度消滅。
上塗り3回塗りの塗膜は5%程度消滅。
1年後
2年後
3年後
塗料メーカー【A】
価格/メジャーな塗料メーカーです。
油性の木材保護塗料と比較すると安価ですが、
半造膜仕上げになるため、木目が潰れる傾向にあります。
通常上塗り1回塗りで仕上がりとなるため、
この塗り板のみ左側が上塗り1回塗り右側が上塗り2回塗り。
耐候性や耐久性/木目が潰れる傾向にありますが、
価格以上の耐候性だと感じます。
上塗り2回塗りの塗膜は70~80%程度消滅。
上塗り3回塗りの塗膜は5%程度消滅。
1年後
2年後
3年後
屋外暴露試験 約4年経過 【杉.Ver/Wp】評価
約4年間屋外暴露試験を行った結果、
上塗り2回塗りの場合は【KR】と【N】を除いては
かなり塗膜が消滅することがわかりました。
ただ上塗り2回塗りの場合は【KR】の方が若干優れているように感じます。
【KR】拡大画像
【N】拡大画像
上塗り3回塗りの場合は【KR】と【N】は同等で、
次に【SO】→【R】の順でした。
ワーストワンは3年後の結果と同じ【W】。
屋外暴露試験 約4年経過【杉.Ver/Wp】結果
最初に木材保護塗料の屋外暴露試験の
きっかけとなった「10年以上保護し続ける」と言う
非常に高価な木材保護塗料は本当にどこまで耐候性に優れているのか
確認し続けると、ビックリするぐらい悪く正直引きました。
それと自分が期待していた若干高価な塗料【H】も
カタログには他社との耐候性試験の差や
屋外暴露試験結果など説明されてますが、
期待外れで終わってしまいました。(^_^;)
約4年間観察した結果
木材種類や吸い込む量・色・環境などによっても
耐候性は変わるので、一概には言えませんが、
気づいた点が7つありました。
①価格だけでは耐候性は測れない。
②カタログのような結果にならないケースもある。
③促進耐候性試験はあくまでも疑似試験であって、
屋外暴露試験とリンクしない傾向が強い。
④若干安価な塗料でも耐候性・撥水性に優れている塗料もある。
⑤撥水性に優れているからと言って耐候性に優れている訳では無い。
⑥上塗りの塗回数が増えれば耐久性は向上する傾向にある。
⑦比較する塗料によっても異なるが、
水性半造膜塗料上塗り1回塗りは
油性(半透明)上塗り2回塗り同等以上の耐久性がある。
(【KR】【N】と比較した場合は劣る)
以上、今回の屋外暴露試験で気づいた点でした。
屋外暴露試験の結果を現場で生かすためには
3年後の結果にも記載しましたが、
◇油性/自然塗料の木材保護塗料を上塗り2回塗りではなく、上塗り3回塗りにする。
◇水性半造膜の木材保護塗料を上塗り1回塗りではなく、上塗り2回塗りする。
(ただし木目が潰れやすくなる)
◇素地(木部)を荒くし、少しでも塗料を吸い込ませる。
◇屋外暴露試験で耐候性に優れているであろう塗料を使用する。
この4通りしかないように感じます。
最後に
無償・有償サンプルを出荷してくださった
塗料メーカー様 本当にありがとうございました。
近々、おすすめ塗料などを掲載する予定です。
以上
屋外暴露試験【木材保護塗料/Wp】約4年後(完)でした。