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屋外暴露試験【木材保護塗料/Wp】約3年経過


2015年5月 スプルースに木材保護塗料を13種類塗装し
南面45度に傾け屋外暴露試験を開始。(材/スプルース)
追加で2015年7月にエナメル1種類/木材保護塗料10種類塗装した杉.Verも設置しました。

この木材保護塗料の屋外暴露試験のきっかけは以前のブログにも書きましたが、
「10年以上保護し続ける」と言う木材保護塗料を発見。
まぁ~カタログだから良い事しか書いていないし
促進耐候性試験の結果を鵜呑みにするような素直なペンキ屋ではないので
これは実験する価値があるんじゃないかなと思い
この塗料とキシラデコールとオスモのウッドステインプロテクターを
実験する事に決めました。です。
阿部塗装店.Blog木材保護塗料実験(きっかけ)/2015-5に記載。
◇Wpクリヤー塗料の結果はこちらにUpしています
うぉあたぁ☛おまえはもう死んでいる/2016-01 

で、2018年8月で約3年経過し淡彩(スプルース系)と濃彩(ウォルナット系)の
耐候性/耐久性の差が明確に現れてきました。
このページでは追加で設置した「杉.Ver」の画像をUpしていきます。

屋外暴露試験 約3年経過【杉.Ver/Wp】比較


WP木材保護塗料の塗膜が約3年経過すると、どれだけ劣化・変色したか
室内で保管している塗り板と照らし合わせ確認していきます。


杉.Verは上塗り2回塗りと3回塗りがあり、
塗膜の消滅・塗膜の剥がれなどを確認します。

価格も耐候性も丁度良い指標になる「T」を基準に判断。

価格は地域や購入ルートによって異なりますが、
基本的にWp/木材保護塗料は普通のペンキより高価なため、

一般的な価格は一斗缶(荷姿14~16ℓ程度)30,000円前後です。


塗料名【T】(この塗料/塗膜が基準になります)
価格/メジャーな塗料で価格は高くもなく安くもない一般的な価格です。
耐候性や耐久性/「良くも悪くもない」という印象です。
上塗り2回塗りより上塗り3回塗りの方が優れてます。


撥水性は8ヶ月経過すると上塗り2回塗りの部分は一部撥水。
上塗り3回塗りの部分は2回塗りより撥水していました。



塗料名【H】
価格/塗料メーカーというより建材メーカーの木材保護塗料で高価です。
耐候性や耐久性/悪いように見えます。
塗料が高価なため価格を考えがえると物足りない印象です。
上塗り2回目より上塗り3回目の方が優れてます。


撥水性は「抜群の撥水性で~」とカタログ上に記載されてましたが、
約8ヶ月経過すると、ほぼ消滅。



塗料名【W】
価格
/コーティングメーカーの木材保護塗料で非常に高価です。
耐候性や耐久性/塗膜がほぼ消滅しています。
杉.Ver 10種類の中でワースト1です。
上塗り2回塗りより上塗り3回塗りの方が若干良いようですが、
3年経過すると、ほとんど分からない状態になってます。

価格が非常に高価のため、試験前はそれなりに持つだろうと思っていましたが、
まさかまさかのワースト1には驚き。(@_@;)


撥水性は塗装後からありませんでした。



塗料名【R】
価格
/Wpではメジャーな塗料で一般的な価格です。
耐候性や耐久性/基準の【T】同等
上塗り2回目より上塗り3回目の方が優れてます。


撥水性は塗装後 若干ありましたが、すぐ消滅しました。



塗料名【N】
価格
/木部用塗料に特化した塗料メーカーで一般的な価格よりやや安価です。
耐候性や耐久性/価格と耐候性のバランスに優れた塗料です。
上塗り2回塗りより上塗り3回塗りの方が優れてます。


撥水性は8ヶ月経過すると、上塗り2回塗りの部分は一部のみ撥水。
上塗り3回塗りの部分は撥水性を持続していました。
杉.Ver10種類の中で一番持続していました。



塗料名【Q】
価格
/マニアックな塗料メーカーで、一般的な価格よりやや安価です。
耐候性や耐久性/【T】と同等。
上塗り2回塗りより上塗り3回塗り方が優れてます。


撥水性は2~3ヶ月程度 持続していましたが、8ヶ月経過すると消滅。



塗料名【SO】
価格
/自然塗料メーカーで価格はやや高価です。
耐候性や耐久性/【T】と同等。
上塗り2回塗りより上塗り3回塗りの方が優れてます。


撥水性は2~3ヶ月前後は物凄く弾きますが持続しませんでした。



塗料名【KR】
価格
/メジャーな塗料で価格は一般的です。
耐候性や耐久性/価格と耐候性のバランスに優れている塗料です。
上塗り2回塗りより上塗り3回塗りの方が優れています。


撥水性は、塗装後からほぼありませんでした。



塗料名【H.ver】
価格/KRとQのブレンド塗料。
耐候性や耐久性/若干【Q】より向上しているように見えます。
上塗り2回塗りより上塗り3回塗りの方が優れています。


撥水性は2ヶ月程度撥水していましたが、約8ヶ月後は消滅。



塗料名【A】
価格
/メジャーな塗料メーカーで一般的な価格です。
この塗料は「油性」ではなく水性塗料で半造膜仕上げになります。
通常上塗り1回塗りで仕上がりとなるため、
この塗り板のみ左側が上塗り1回塗り右側が上塗り2回塗り。
耐候性や耐久性/価格と耐候性のバランスに優れ
上塗り2回塗りの部分は変色も少ないように感じますが、
油性と比較すると木目が潰れやすくなります。
上塗り1回塗りより上塗り2回塗りの方が
耐候性に優れているようですが、
さらに木目が潰れやすくなります。


撥水性は上塗り1回塗りはほぼありませんでしたが、
上塗り2回塗りは2~3ヶ月持続。
約8ヶ月後は消滅。



【番外】
WP塗料ではなく一般的に言われている「ペンキ」となります。
耐候性や耐久性/木材保護塗料と比較すると塗膜の消滅はありませんが、
塗膜が割れ・塗膜剥がれが発生してました。
一般的には屋外木部は木材保護塗料で塗装されることが多いです。

屋外暴露試験 約3年経過【杉.Ver/Wp】評価

塗り板を見る人によって評価は異なると思いますが、
塗膜の消滅が少なく価格も一般的な【KR】【N】
耐候性/耐久性に優れているように感じました。

やや耐候性/耐久性が劣る【R】と【KR】【N】の拡大画像で比較。


【R】の拡大画像
上塗り2回塗り/木材の割れ周辺の塗膜が消滅。
ところどころ塗膜が消滅してきてます。
上塗り3回塗り/木材の割れ周辺の塗膜が消滅してきてます。


【N】の拡大画像
上塗り2回塗り/木材の割れ周辺の塗膜の消滅が少ないが、
ところどころ塗膜が消滅してきてます。
上塗り3回塗り/良好に見えます。


【KR】の拡大画像
木材の割れ周辺の塗膜の消滅が少なく上塗り2回塗り/3回塗りも良好だと思います。

屋外暴露試験 約3年経過【杉.Ver/Wp】結果

撥水性と耐候性の関係
Wp/木材保護塗料の屋外暴露試験を開始する前、
撥水する塗料の方が耐候性/耐久性に優れているのか?
それとも関係無いのか分かりませんでした。
屋外暴露試験を開始してから、
撥水性が一番持続した塗料【R】のメーカーの方や自然塗料メーカーの方に
「撥水性(撥水効果)に優れていれば耐候性/耐久性が上がるんでしょうか?」と伺うと
撥水性は一つの付加価値として添加しているだけで、
塗膜の耐候性/耐久性はほぼ関係無い。とのことでした。
屋外暴露試験【木材保護塗料】約8ヶ月後の撥水性の差
↑クリックして頂くと動画をご覧いただけます。

塗装後、水をかけ撥水性を確認しましたが、【KR】は ほぼ撥水性はありませんでした。
【R】は一番撥水性に優れてましたが、耐候性/耐久性は【KR】の方が若干良く見えます。

ただ撥水する塗料/塗膜の方が良さそうに見えちゃいますけどね(笑)


塗料の価格で耐候性/耐久性がわかるのか?
10種類の中で非常に高価な塗料がワースト1。
高価な塗料【H】は「耐候性や撥水性に優れている」と強調していますが、
やや安価な塗料【N】に劣る。

屋外暴露試験の結果
単純に高価な塗料=耐候性/耐久性や撥水性の持続に優れている訳では無い。
やや安価な塗料の場合、耐候性に劣る塗料もあれば、
耐候性に優れている塗料もある。ということが分かりました。

今回の実験でも価格だけで塗料を選択すると危険な塗料もある。
と身を持って体験でき良かったです。(笑)


上塗り2回塗りと上塗り3回塗りの差
塗料名【W】を除いて、上塗り2回塗りより上塗り3回塗りの方が
耐候性/耐久性が向上していました。(現場では上塗り2回塗りが多いと思います)
ただし、塗料によっては【H】のように上塗り3回塗りしても
【N】上塗り2回塗りに劣る塗料もあるため、
エナメル同様、木材保護塗料の選択も大変難しいと思います。

水性半造膜タイプの木材保護塗料も上塗り1回塗りより上塗り2回塗りの方が向上しますが、
木目が潰れやすくなり、塗膜が剥がれるリスクが上がる?ように感じます。


屋外木部塗装の耐候性/耐久性を向上させるためには
木材保護塗料の屋外暴露試験の結果を確認すると耐久性(塗膜の消滅)を確実に向上させる方法は、

◇油性/自然塗料の木材保護塗料を上塗り2回塗りではなく、上塗り3回塗りにする。

◇水性半造膜の木材保護塗料を上塗り1回塗りではなく、上塗り2回塗りする。
(ただし木目が潰れやすくなる)

◇素地(木部)を荒くし、少しでも塗料を吸い込ませる。

この3通りしかないように思えます。

話はそれますが、現在、水性半造膜タイプの塗料が販売されてますが、
塗料メーカーの方に水性半造膜タイプの木材保護塗料/上塗り1回塗りと
油性の木材保護塗料/上塗り2回塗りでは、どちらが耐久性に優れているんですか?と伺うと
「水性半造膜タイプの方が塗膜が残りやすいと思う」と返答頂きました。
当店の屋外暴露試験の結果を確認しても、水性半造膜タイプに劣る油性塗料もあるので、
塗料メーカーの方がおっしゃる通り、そういう傾向にあると感じました。
(ようは木部に塗膜が付けば付くほど擦り減る時間をかせげる。ということだと思います)

なので、もし次回 木材保護塗料の屋外暴露試験を行う時は、
弱溶剤2液形フッ素樹脂塗料(ペンキ)30%と弱溶剤2液形フッ素樹脂塗料(クリアー)70%を
混合し適度な粘度にしてある程度の膜を付ければ耐久性は向上するのでは?と思ったので、
試してみたいと思います。


以上
屋外暴露試験【木材保護塗料/Wp】約3年後でした。

4年後の結果はこちらに更新しています。↓
屋外暴露試験【木材保護塗料/Wp】約4年経過(完)